解決事例
- 2026.06.25
- 成年後見の申立の流れと費用|初めての方への手引き
親の物忘れが進み、預貯金の引き出しや施設の契約、実家の管理で立ち止まる場面が増えてくると、頭をよぎるのが成年後見の申立です。けれども、何から手をつければよいのか、誰がどこに申し立てるのか、費用はいくらかかるのか、最初の一歩で迷う方は少なくありません。
この記事では、千葉県成田市・四街道市・柏市で20年にわたり相続と財産管理のご相談に向き合ってきた立場から、成年後見の申立の流れ、必要書類、費用、期間、よくある誤解までを実務目線で整理します。読み終わるころには、ご自身の状況に当てはめて次の動きが見える状態を目指します。
目次
成年後見の申立の前に知っておきたい全体像

この章では、成年後見の申立の出発点になる「制度の全体像」を押さえます。
法定後見の3類型(後見・保佐・補助)
法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれます。
後見:多くの法律行為を一人で判断するのが難しい段階
保佐:重要な手続きを一人で決めるのが難しい段階
補助:一部の重要行為に不安がある段階
民法第7条は、判断能力を欠く常況にある人について後見開始の審判を、第11条は判断能力が著しく不十分な人について保佐開始の審判を定めています。第15条以下では補助開始の審判が定められており、必要な範囲だけ権限を付ける柔らかな制度設計になっています。
申立てが必要になる場面
実務でご相談を受ける中で多いのは、預貯金の解約や定期預金の払戻し、施設入所契約、介護保険の手続、不動産の処分、相続の発生といった場面です。本人名義の手続きを家族が代わりに進めようとした際に、金融機関や施設から「成年後見人を立ててください」と求められるケースが典型です。
任意後見・日常生活自立支援との違い
任意後見は、本人に十分な判断能力があるうちに公正証書で契約しておく制度です。すでに判断能力の低下が進んでいる場合は、法定後見の検討が中心になります。
日常生活自立支援事業は、契約締結能力が残っている方を対象に、福祉サービス利用援助や日常的な金銭管理を行う仕組みです。本人の契約能力がより低下している場合は、成年後見制度のほうが適する場面があります。
成年後見の申立ができる人と申立先
この章では、誰が申立人になれて、どこに申立てをするのかを整理します。
申立人になれる範囲
申立人になれるのは、本人、配偶者、四親等内の親族のほか、状況によっては検察官や市区町村長などです。近年の傾向として、本人申立てが約4分の1、市区町村長申立てが約4分の1、子からの申立てが約2割と、家族以外からの申立ても一定の割合を占めています。
家族だけで抱え込まずに、地域の相談窓口へ早めに声をかけるという選択肢も現実的です。
本人住所地の家庭裁判所が原則
申立先は、原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
最寄りの裁判所ならどこでもよいわけではなく、管轄違いだと手続きが進みません。
千葉県北西部の管轄支部
千葉県内でも、お住まいの地域によって申立先が分かれます。成田市・四街道市は佐倉支部、柏市は松戸支部が申立先になります。
成年後見の申立に必要な書類

この章では、申立てで実際にそろえる書類を確認します。
家庭裁判所の所定書式
家庭裁判所が用意している代表的な書式は次のとおりです。
|
書式名 |
役割 |
|---|---|
|
後見・保佐・補助開始等申立書 |
申立内容を記載 |
|
申立事情説明書 |
本人の状況・申立てに至る経緯 |
|
親族関係図 |
家系図形式で親族を整理 |
|
親族の意見書 |
推定相続人など親族の賛否 |
|
後見人等候補者事情説明書 |
推定相続人など親族の賛否 |
|
財産目録 |
預貯金・不動産・有価証券などの一覧 |
|
相続財産目録 |
本人が相続人になっている財産 |
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収支予定表 |
年間の収入と支出の見込み |
戸籍・住民票・証明書類
書式に加えて、本人については、戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書などが必要です。
後見人等候補者については、住民票が基本となります。必要書類は類型や申立先により異なるため、申立前に確認しましょう。
登記されていないことの証明書を窓口で取得する場合、お住まいの地域を管轄する法務局の本局のみで、支局や出張所では取り扱いがありません。郵送請求は窓口が異なる場合があるため、よく確認するようにしましょう。
診断書と本人情報シート
医学的資料として、診断書と本人情報シートを準備します。書式は申立先で採用しているものを使用し、できるだけ直近のものを用意するのが安全です。診断書の取得を後回しにして全体が遅れる例があるため、早めの段取りをおすすめします。
成年後見の申立にかかる費用の内訳
この章では、公的実費と専門家費用を切り分けて整理します。
公的実費の基本ライン
公的な実費の基本は次のとおりです。
|
費目 |
目安 |
|---|---|
|
申立手数料(収入印紙) |
800円 |
|
連絡用郵便切手 |
家庭裁判所ごとに異なる |
|
登記手数料 |
2,600円 |
申立手数料は、申立てごとに収入印紙800円が必要になります。このほか、登記されていないことの証明書1通300円、戸籍謄本・住民票等の発行手数料、診断書作成費用が別途かかります。
連絡用の切手は家庭裁判所ごとに金額が違うため、申立先での確認が欠かせません。
鑑定が行われる場合の費用感
「鑑定は必ず必要」という誤解がありますが、実際に鑑定が行われるのは全体の3〜4%程度にとどまります。実施される場合でも、鑑定費用は10万円以下に収まるケースが約9割、5万円以下が約4割という分布です。
専門家へ依頼した場合の報酬
司法書士など専門家に申立書類作成を依頼する場合の報酬は、事務所や事案の内容によって異なります。財産調査、面談回数、相続関係の複雑さなどにより変動するため、個別見積りで確認するのが安全です。
なお、選任後の後見人報酬は別の話で、家庭裁判所の審判で決まります。通常の後見事務の基本報酬は月額2万円が一つの目安です。管理財産額が1,000万円超5,000万円以下の場合は月額3万円〜4万円、5,000万円超の場合は月額5万円〜6万円が目安とされています。ただし、報酬額は法律で一律に決まるものではなく、家庭裁判所が本人の財産額、事務内容、難易度などを総合考慮して個別に決定します。
成年後見の申立から審判までの流れ

この章では、申立て前後の動きを時系列で示します。
実務での標準的な流れは次のとおりです。
1.類型の見極め(後見・保佐・補助のどれが近いか)
2.管轄の家庭裁判所を確認
3.書式を入手し、戸籍・住民票・財産資料を収集
4.診断書・本人情報シートを医療機関で準備
5.収入印紙・郵便切手・登記手数料を納めて申立て
6.家庭裁判所から照会・面接、必要に応じて鑑定
7.審判・登記、後見人等の就任
申立て前の準備期間
書類収集と診断書取得には、ご家族の動きやすさにもよりますが、1〜2か月かかることが珍しくありません。預貯金通帳、保険証券、不動産関係資料の棚卸しから始めると、財産目録の作成が進めやすくなります。
申立てから審理までのステップ
申立て後は、家庭裁判所からの照会、申立人や成年後見人候補者への面接、必要に応じた鑑定が行われます。追加照会が入ることもあるため、「出したら終わり」ではない点に注意が必要です。
期間の目安は2〜4か月

期間は「多くは2〜4か月」かかるものと見込んでおきます。預貯金解約や施設契約の必要が迫ってから動くと、間に合わない場面が出てきます。早めの準備が結果的に余裕を生みます。
成年後見の申立でよくある誤解とトラブル
この章では、相談現場で繰り返し見かける誤解を整理します。
親族候補が必ず選ばれるとは限らない
「子を候補者に書けば、そのまま後見人になれる」と思い込んでいる方が多いのですが、家庭裁判所は事情を総合判断するため、候補者欄に記載した方が選ばれない場合があります。近年は、親族以外(司法書士など第三者専門職)が選ばれる割合が高くなっています。
候補者欄はあくまで希望の表明であって、確約ではない、と理解しておくと、選任結果に過度な期待をせずに済みます。
居住用不動産の処分には別途許可が必要
「後見が始まれば自宅の売却は自由にできる」というのも誤解です。本人の居住用不動産を処分する場合は、家庭裁判所の許可が別途必要になります。空き家や実家売却を視野に入れているご家庭では、申立て段階で見通しを立てておくと安心です。
報酬は家庭裁判所の決定を経る
後見人の報酬は、本人の財産から自由に受け取れるものではなく、家庭裁判所の報酬付与審判を経て支払われます。第三者が後見人になった場合でも、報酬の透明性は制度として担保されています。
専門家に依頼する判断基準と相談のタイミング
この章では、ご自身で進めるか専門家へ依頼するかの線引きを整理します。
自分で進められるケース・難しいケース
本人の財産がシンプルで、親族間の意見もまとまっており、書式記入に時間を割ける場合は、ご自身で申立てを進める選択も十分に成り立ちます。一方、不動産が複数ある、相続が絡んでいる、親族の意見が割れている、財産関係が複雑、といった事情があると、書類作成の負担が一気に増します。
相続・空き家との接点があるとき
実務では、成年後見の申立と相続手続、不動産売却、空き家対策が同時に走り出すケースが少なくありません。千葉県内でも空き家は40万戸近くにのぼり、判断能力が低下した親名義の実家の管理にお困りの方が増えています。手続きが連動する場合は、登記・財産管理の知見を持つ専門家へ早めにご相談いただくほうが、結果として時間と費用の節約になります。
相談は早めが安全
「契約や解約が必要になってから急ぐ」のではなく、「必要になる少し前に動き出す」のが理想です。
まとめ|成年後見の申立は計画的な準備がカギ
成年後見の申立は、類型の見極め、管轄の確認、書類収集、診断書取得、申立てから審判までを通して、おおむね2〜4か月で区切りがつく手続きです。費用は公的実費が中心で、必要に応じて専門家報酬が加わります。

司法書士法人ふらっとでは、成田市・四街道市・柏市の3拠点で成年後見の申立に関するご相談を受け付けています。対面相談はもちろん、オンラインでの無料相談にも対応しており、夜間や土日祝日も事前予約によりご利用いただけます。「うちの場合は何から始めればいいのか」という段階からお気軽にご相談ください。

当事務所は創業20年以上の実績を持ち、これまでに累計8,500件以上の相続相談に対応してきました。相続・遺言・家族信託など幅広い分野の相談窓口を運営しており、経験豊富な司法書士がチームでサポートいたします。(相続相談件数:2026年4月時点)
大切なのは、預貯金や施設契約、相続や不動産処分が必要になる「少し前」に動き出すことです。

















































