株の名義変更|相続で株式を引き継いだとき
相続により株式を取得した方へ、上場株式・非上場株式それぞれの名義変更手続きや必要書類、注意点を丁寧に解説しています。名義変更を放置した場合のリスクや費用・期間の目安も明記。千葉県内に3拠点を持ち、土日祝も対応可能な司法書士法人ふらっとが、地域密着でサポートします。
株の名義変更とは、株式の所有者が変わった際に株主名義を新しい所有者へ書き換える手続きのことです。特に相続で株式や証券、国債を取得した場合は、速やかに名義変更を行わないと、正式な株主として認められず 配当金の受け取りや議決権の行使ができません。相続による株式の名義変更手続きは、預貯金の相続よりも複雑になりがちで注意点も多いため、お悩みになられる方が多いです。
主に上場株式(証券取引所に上場している株)と非上場株式(未上場の株)で手続き先や必要書類が異なるため、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。また、名義変更にかかる期間や費用、手続きを放置した場合のリスク、当事務所の千葉県の地域密着型サービスもご紹介します。
目次
株式の名義変更が必要なケースと理由
株式の名義変更は、「誰から誰に株を引き継ぐか」によって手続き方法や関係する税金が変わります。生前贈与で親などから株式を受け取る場合は贈与税の対象になりますが、相続によって株式を取得した場合は相続税の対象となり、他の財産と合算して一定額を超えると申告・納税が必要です。いずれの場合も、新しい所有者に権利を移すため名義変更の手続きが必要になります。
相続で株式を取得した場合、名義変更を怠ると 株主権を失うおそれ があります。具体的には名義変更しない限り、形式上は故人が株主のままの状態となり、相続人は配当金や株主優待の受取、株主総会での議決権行使など株主としての権利を行使できません。法律上、名義変更の明確な期限は定められていませんが、 手続きを放置すると 次のようなリスクがあります。
・配当金や株主優待を受け取れない・株主権を行使できない: 前述の通り、名義を書き換えないと正式な株主とは認められず、経済的利益や議決権を享受できません。
・相続税申告漏れによるペナルティ: 名義変更をしないまま放置し株式の存在を申告しないと、後日発覚した際に延滞税や無申告加算税などの罰則が科される可能性があります。相続税の申告・納付は被相続人の死亡から10ヶ月以内と期限が決まっているため注意が必要です。
・資産承継が複雑化する: 名義変更を長期間しないうちに相続人自身が亡くなってしまった場合、さらに次の相続が発生して株式の権利関係が複雑になる恐れがあります。放置期間中に株価が変動したり他の相続人との関係が変化することも考えられるため、できるだけ早めに手続きを進めることが望ましいでしょう。
以上の理由から、相続した株式は速やかに名義変更手続きを行うことが大切です。続いて、上場株式と非上場株式それぞれの場合に分けて具体的な手順や必要書類を解説します。
上場株式の相続による名義変更手続き
上場株式(証券取引所に上場している株式)の名義変更は、基本的に被相続人が取引していた証券会社を通じて行います。故人が証券会社に口座を持って取引していた株式は、その証券会社経由で相続手続きと名義書換を進めることになります。具体的な流れとポイントは次のとおりです。
証券会社での名義変更手続き
まず、被相続人が利用していた証券会社に 相続が発生した旨を連絡 します。証券会社ごとに所定の相続手続き申請フォームや必要書類の案内がありますので、それに従って手続きを開始します。証券会社から送られてくる一式の書類に必要事項を記入し、相続人全員の署名押印や必要書類の添付を行って提出します。
証券会社で名義変更を行う際に一般的に必要となる書類は、以下のとおりです。
・被相続人(故人)の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言書(ある場合)または遺産分割協議書(相続人間で誰が株式を承継するか決めた書面)
・相続人全員の印鑑証明書
・証券会社所定の申請書類(口座名義変更依頼書、相続人代表の同意書など)
※遺産分割協議書は、複数の相続人で話し合い株式の承継者を決めた証明書です。遺言書があれば基本的にその指定に従いますが、遺言がない場合はこの協議書が必要になります。協議がまとまっていない段階では、株式を相続人全員の共有名義で一時的に名義変更するケースもあります。
証券会社への提出書類に不備がなければ、証券会社側で審査・登録が行われ、株式の名義が正式に相続人の名前へ書き換えられます。注意点として、被相続人が複数の証券会社に口座を持っていた場合、証券会社ごとに手続きを進める必要があります。うっかり一社だけ手続きをして他社の口座を放置しないよう、故人の取引口座を漏れなく確認しましょう。各証券会社から送付される残高報告書や取引報告書、自宅保管の口座開設書類などをチェックすると漏れ防止に役立ちます。
また、被相続人の株式が「特別口座」で管理されていた場合は注意が必要です。特別口座とは、証券会社に預けず株券電子化後に信託銀行等が管理する口座のことで、故人が旧来の株券を証券会社に預け替えないままだった場合などに存在します。特別口座にある株式を相続する場合、口座管理機関である信託銀行などを通じた手続きが別途求められます。具体的には、該当する信託銀行に連絡し所定の名義書換請求書類を提出する形となりますので、証券会社経由の株とあわせて対応しましょう。
株主名簿の書換手続き(発行会社での手続き)
証券会社での口座名義変更手続きが完了すると、次に株式を発行した会社の株主名簿を書き換える手続きが行われます。上場企業の株主名簿管理人は多くの場合信託銀行等が担当しており、証券会社がそれら管理機関と連携して 株主名簿上の名義変更 を代行してくれます。通常、相続人が証券会社で必要書類を提出すれば、その後の株主名簿書換え(名義書換請求)は証券会社経由で自動的に行われるため、相続人自身が発行会社に個別に連絡する必要はありません。
ただし、発行会社によって要求される書類が追加で発生するケースもあります。例えば、発行会社によっては 相続人全員の同意書 の提出を求めることがあります。これは相続人の間で名義変更について争いがないことを確認するための書類です。証券会社から案内があれば、指示に従い用意しましょう。
上場株式の名義変更手続きにかかる期間は、提出書類に不備がなければ おおむね2~4週間 程度で完了するのが一般的です。ただし、相続人が証券口座を新規開設する必要がある場合(相続人自身がその証券会社に口座を持っていない場合など)や、書類の追加・修正が生じた場合はさらに時間がかかることもあります。書類不備で手続きが長引くケースも多いため、案内された必要書類を早めに正確に揃えることがスムーズな手続きのポイントです。
非上場株式の相続による名義変更手続き
非上場株式(未公開株式、プライベートカンパニーの株式)の名義変更手続きは、上場株式とは異なり証券会社を介さず直接その株式を発行している会社とやり取りする形になります。被相続人が中小企業のオーナー株主であった場合や、上場していない会社の株式を持っていた場合はこちらの手続きが該当します。
発行会社への名義書換申請
まず、相続人(または相続人代表者)は 発行会社に相続発生の連絡 を入れ、株式の相続による名義書換手続きを行いたい旨を伝えます。会社側から所定の名義書換申請書(名義変更請求書)の様式や手順について案内がありますので、それに従って申請書を作成し提出します。名義変更の完了は、その会社の株主名簿を書き換えることで行われますが、会社によっては 株主総会や取締役会での承認 が必要な場合もあります(会社の定款による制限)。特にオーナー企業では株の譲渡に承認を要するケースがあり、相続でも形式的に承認手続きを経ることがあります。
発行会社によって具体的な手順や必要事項は異なりますので、事前に会社の担当部署(総務部や株式担当部署など)に確認しましょう。会社によっては相続人の資格確認や持分比率の整理のため、「相続人調査」を事前に行い、相続分どおりに株式を分配・集約するよう求められる場合もあります。これはたとえば相続人が複数いる場合に、全員を株主名簿に登録する(共有名義にする)か、一部の代表者に集約するか等の調整です。いずれにせよ、会社ごとに手続きの流れが違うので指示を仰ぎながら進めることが重要です。
非上場株式の名義変更に必要な書類
非上場株式の名義を書き換える際に一般的に求められる書類は次のとおりです。
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・株券(発行会社が株券を発行している場合は現物が必要)
・遺産分割協議書または遺言書(相続による承継内容を証明する書類)
・名義書換申請書(発行会社所定の用紙)
加えて、発行会社によっては 相続人全員の同意書 を別途要求される場合もあります。これは上場株式の場合と同様、全相続人が当該株式の分配・名義変更に同意していることを示す書面です。また、遺産分割協議がまとまっておらず誰のものにするか決まらない場合、名義を 相続人共有 として一旦書き換える方法もあります。ただし共有名義のままだと後の処分(売却など)が煩雑になるため、できるだけ相続人間で話し合いの上で単独名義にすることが望ましいでしょう。
非上場株式の場合も、名義変更自体にかかる期間は 数週間程度 が目安ですが、会社の対応状況によってはさらに時間を要することがあります。上場株式のように画一的な流れではないため、例えば会社の承認待ちで時間がかかったり、書類のやり取りが郵送中心で手間取るケースもあります。早めに必要書類を準備し、会社からの連絡に迅速に対応することが大切です。
費用面については、非上場株式の名義書換自体には特別な行政手数料(登録免許税など)は通常かかりません。ただし、会社によっては名義書換に際して郵送費や株主名簿書換手数料を請求される場合があります。事前に発行会社に費用の有無も確認しておくと安心です。
株式の名義変更手続きに関する注意点・ポイント
相続による株式の名義変更を進める上で、いくつか押さえておきたい注意点があります。以下に主要なポイントをまとめます。
・遺産分割協議の成立が前提: 株式は現金のように簡単に分割できない財産です。誰がどの株式を相続するか、相続人全員で遺産分割協議を行って決定する必要があります。協議内容は遺産分割協議書にまとめ、名義変更手続きの際に提出します。協議が整わない限り原則として単独名義に変更できないため、早めに話し合いを行いましょう。
・証券口座の開設: 相続人が株式を受け取る証券口座を用意する必要があります。被相続人と同じ証券会社に相続人名義の口座を開設し、そこへ名義変更で株式を移管する形が一般的です。もし相続人が未成年であったり口座を持っていない場合でも、証券会社に相談すれば相続用に口座開設手続きを案内してくれます。なお、複数の証券会社で保有していた株式を一つの口座に集約したい場合には、一度それぞれの証券会社で相続手続きを完了させてから金融商品仲介業者を通じて振替移管するといった段階が必要になることがあります(このあたりは専門家に相談するとスムーズです)。
・準確定申告を忘れずに: 被相続人が生前に株式を保有し配当所得や株式売却益を得ていた場合、相続人は被相続人の死亡年の確定申告(準確定申告)を行う必要があるケースがあります。相続開始から4ヶ月以内に行う手続きで、漏れると追徴課税の恐れがあるため注意しましょう。特に株式の配当金は源泉徴収されていることも多いですが、大口株主等の場合は確定申告が必要になることもあります。
・相続税申告の検討: 株式は相続財産に含まれるため、遺産総額次第では相続税の申告・納税が必要です。上場株式の評価額は死亡日の終値や前後数ヶ月の平均値などを基準に算出され、非上場株式の評価額は類似業種比準方式や純資産価額方式で算出されます。これら専門的な計算が絡むため、相続税が発生しそうな場合は税理士など専門家に相談すると安心です。
・株式を売却する場合の留意点: 相続した株式をすぐに現金化(売却)したい場合でも、名義変更手続きを経て自分名義にしてからでないと売却は基本できません。名義人でないと証券会社で売却指示が出せないからです。ただし、証券会社によっては相続人代表者への名義書換前に遺産分割協議書の提出を条件に代行売却するサービスを提供するケースもありますので、急いで現金化したい事情がある場合は証券会社に相談してみましょう。また、株式を売却すれば譲渡所得税がかかります。相続時の取得費加算の特例など有利な制度もありますので、大きな金額になる場合は税務面の検討も必要です。
・手続きに時間がかかる場合も: 先述の通り、株式の名義変更には2~4週間程度かかるのが一般的ですが、ケースによっては1ヶ月以上かかることもあります。書類不備で差し戻しがあればさらに時間が延びますし、非上場企業の手続きや複数口座の対応があると煩雑さが増します。余裕を持って準備し、早め早めの行動を心掛けましょう。
以上の点に注意しながら進めれば、株式の名義変更手続きは着実に完了させることができます。「思ったより書類が多くて大変そう…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。専門家に依頼すれば必要書類の収集代行や金融機関・会社との調整もスムーズに進められます。
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